6月9日から公開されている、参加者交流型webゲーム『unto』(アントゥ)について、23日にマップの更新とイベントの追加、床に書かれたメッセージの時間経過による劣化機能の追加が行われる予定。ゲームの公開期間は、6月30日の23:59までを予定している。
『unto』では、立方体で表示される部屋から進む通路を選んでダンジョンを探索し、床にメッセージを残す等の方法で、他の参加者と協力して出口を探す。戦闘はなく、ひたすらダンジョンの探索を進める。製作はcxx05610さん(zenmaido)。βバージョンの試運転期間として運営されている。
プレイヤーキャラクターは立方体の部屋で構成されたダンジョンを探索。回転する部屋に表示されている通路をクリックすることで、隣の部屋へと移動する。部屋によってはイベントがあり、方眼紙などで人力でマッピングをしながら探索をすることが推奨されている。
床にチョークで書くメッセージは、24文字までの自由入力の場合には、書いたキャラクターの名前が併記される。単語と文型を選んで記入する定型文の場合には、記入者の名前は表示されない。
23日のアップデートでは、時間経過で床に書かれた文字が劣化していく機能が実装される予定。この機能は1度導入されたが、不具合のため見送りとなっていた。
23日に更新予定のマップは、残り期間が少なくなってきたこともふまえて、現在運営中のものと比べて若干縮小版になるという。ただし、従来版と並行での運用になる可能性もある。
プレイ感想
主観を含む、個人的なプレイの感想です。ネタバレにはなるべく配慮していますが、プレイしないと得られない情報も含みます。
前後左右(東西南北)に歩を進め、イベントに出会うプレイ感は『世界樹の迷宮』シリーズを彷彿とした(人によっては『Wizardry』だろう)。戦闘は無く、また「強制イベント」の類が無いため、移動の制限は5秒の「クールタイム」と、壁によるものとなる。アップデートにより内側からも通路をクリックできるようになり、移動しやすくなったようだ(マップ追加後に再チャレンジしたいと考えているが、このアップデート後には遊んでいない)。
初期位置はランダムだが、マップの広さと出口の手掛かりは、他プレイヤーが残したメッセージ以外は全くない。『世界樹の迷宮』の1フロアとは比較にならない広大なマップを当てもなくさまようのは結構きつい。イベントも疎密あり、イベントも床のメッセージも無い地域では、かなり孤独で心細い体験をすることになる(そうした探索体験に没入できるということでもあるが)。
他方、床に残された他のプレイヤーのメッセージから得られる安心感、出口に近づいているらしいことが分かったときのときめきは、非常に印象的な体験になった。メッセージには脱出のヒントから、勘違いや噓、対話を求めるものなど、いろいろある。ダンジョンに元からある仕掛けだけでは得られないもので、GMも「メッセージをたくさん残すことはめちゃくちゃ推奨事項であることをご理解下さい」と意見を表明している。メッセージの内容やゲーム内の雰囲気の維持はプレイヤーのマナー、善意に委ねられているが、自分が目にしたものにはゲーム体験を損なうようなものは1つも無かった。
ダンジョンのイベントも、「とある場所」や「出口」に到達したときには、とてもドキッとした。
出口はたったひとつ。しかし、脱出手段や「終わり」を迎える方法はひとつではない。何らかの形でこのゲームからの脱出方法を選択したキャラクターのアカウントには、ログインができなくなる。そのため「今度は別のキャラクターで別の選択をとってみようかな」という気持ちが生まれる。マップが新しくなったら、また挑んでみたい。
自分はスマホで細切れの空き時間にプレイしており、出口に辿り着くまでマッピングは行わなかった(出口に辿り着くためにマッピングは必要ない)。先述の「とある場所」をもう一度見に行きたくて、出口からマッピング、アナログの方眼紙で実施した。地図を作ることの達成感と、いつでも出口に簡単に戻れるという安心感があった。ゲーム終了後も、自分で作成した「地図」は、終了後に公開されるマップ情報とは別物として、プレイヤーの思い出として手元に残り続けるのではないだろうか。自分で書いた地図には、とても愛着が湧いた。
wallでの交流はいわゆる「全体チャット」にあたるが、激流になりがちな他ゲームの全体チャットや大通りと異なり、姿の見えない相手と壁伝いに会話を交わす、という雰囲気が維持されていた。また、どこかで誰かが起こしたイベントの結果が反映されることもあり、ただただ単純な掲示板・チャットでも無いことが面白かった。
マイペースに1人で遊ぶことができ、その上で他のプレイヤーの存在も感じられる。ロストするという結末を選び取ることもできるので、キャラクターのロストをしたい人にも、したくない人にもオススメできる。ただ、初期位置にもよるが、それなりにプレイ時間がかかる可能性もあるため(マップが広く、クールタイムもあるので)、何らかの結末をきちんと迎えたい人は、ある程度、ゲーム終了までの時間を確保して臨むことをオススメしたい。
ゲーム情報
タイトル | unto(アントゥ) |
ジャンル | 参加者交流型webゲーム |
制作・運営 | cxx05610/zenmaido |
URL | http://zenmaido.starfree.jp/beta_unto/index.php |
ゲーム開始日 | 2024年6月9日(βバージョン) |