制作者に聞いてみた -Story of Lost Artifact-

■楽しかった所をそれぞれから

──「SoLA」の運営を始めて、楽しかった所はありますか?

たくにこ :そうですね……GM、というかプログラム担当としては、やっぱり新しいプログラムを書き上げている時間が一番楽しいですね。
「SoLA」を作る、という目的のもと学び始めたプログラミングですが、何かを作るってすごく楽しいことなんですね。
機能としては、チャットや掲示板を作ったり、物語戦の実装をしたり。リンク台詞なんかも用意しました。
特に、技術力の向上で新しい機能が書けるときは、最高に楽しく感じます。

ファンキー☆石塚:ストーリー班としてはキャラクター一覧を眺めてみなさんのキャラクターの設定を読むのが楽しかったところがあります。こういう設定を盛り込んでくるのか、という気づきなどが多くありました。

T:元々考えたり話し合いして何か一つのものを形作るのが好きで、大変ながらも一つの落としどころを見つけるのは楽しいものがありました。
その中でも、自分が発案した意見やアイディアが通るのはとても嬉しいものがあります。「タイムシフター」でもカウントダウンの時限やタイムラプスはたくにこさんと交渉しながらこれは出来そう、これは出来ないと話し合いながら出来ました。

このことは皆さんのアーティファクト公募にも言えることかもしれません。誰しも自分が考えたものが形になるのは嬉しいのだと考えています。なので我々も出来るだけ採用できるよう尽力しました。
ちなみに皆さんにお出ししていただいたアーティファクト公募には、表には見えないものの内部処理のための英語名を付けております。『chunibyo』……なんて名前のもあります。

N:最初はデバッグだけのつもりだったのですが、いつの間にかスキルの原案出しにもちょっと参加していました。こういうのどう?あったらいいな?な欲望をぶつけて……例えばアロンダイト、エクスプロージョン、ライジングスター(正確には37行動毎があるといいな、から中身はメンバーで出しあいました)、ヘイルフォール、ヴァンダリアン、デストラクション、カード【疾風】が私だったりします。カード【召喚】も私が言い出して、【召喚】のために【疾風】を作るという手間をかけさせたり……ありましたね。

自分の案の形が実現して動作すると嬉しいものでした。
アーティファクト公募になると、中に混じって公募してたりしたんですがモチーフスキルとなると特別感があって熱いですね。

それと、このゲームにNPC画像の公募がありますね。敵画像が実装されるときに同時に台詞がつくのですが、たまにその実装作業に参加していました 。実質キャラ作りみたいな要素で難しいんですが、喋ると息づいた!感じがして気分が上がりましたね。稀に自分で絵を公募しながら自ら台詞づけ作業をした時も実はあったりしました。

B:他にもいろいろありますが、一番楽しかった部分はスキル原案の考案です。
「どのような要素を盛り込めばLv7までのクラス構築要素を引き継げる・或いは発展させられるか」、「この複合ツリーを掘り進める方が求めているものは何か」など、掴み切れないながらも考えてゆくことは楽しかったです。
何よりも「このスキルが戦況にどのような影響を及ぼすか」「このスキルに、使用者はどのような名前・演出を付けるか」などを考えながらスキルを考えることが楽しかったです。……そのうち、幾らか自分でも使っているスキルがあります(!!!)。
私は主に、知力+他主能力との複合スキルや、「クルセイダー」「シーフ」「シャーマン」のLv8~スキル、後は「グレムリンテイマー」(スキル原案からのブラッシュアップ)「メディカリスト」(ヒーラー担当の方と二人三脚で整形しました)全般の原案を担当していましたが、
他のクラスに採用されたスキルアイデアも幾らかあります(イマシメやドラグーン、「あの」ショウダウンなど)。

■辛かった所をそれぞれから

──では逆に辛かった所はありますか?

たくにこ:とにかく、大量のデータを用意するのが一番大変ですね。
「SoLA」は様々な方法でスキルを習得するので、本当に数が膨大になりまして……1000個からは数えてません。

次にゲームを作る時は、絶対にデータを肥大化させない仕様にします。絶対。

後は……バランスについてですね。プレイヤーが勝てない敵を作るのは本当に簡単で、ちょっと構成を真面目に組むと途端に引き分けや敗北ログで埋め尽くされます。
「某スキルを積んだ敵を出してみる?」って試したところ、テスト環境での突破率が0%になったこともあり、そんなの流石に世には出せませんよね。
なので、わざと隙というか、穴を作る……例えば少しちぐはぐなスキルを織り交ぜる、SPを回らなくする、デバフ対策を不足させる、あるいは不要な主能力に割り振る……など、プレイヤーが突破できるように組むのが難しいと感じていました。

T:「丁度いいところ」を探すのが本当に難しい。自分の担当している「タイムシフター」で言えばスロウは何度も調整しました。最初こそ使われないからとバフしてみたら強すぎた。じゃあ範囲を狭めて、発動率を下げて……そして遅延から連続減に先祖返り。
運営する上でこのスキルがどう使われるかの発想力が大事だと痛感しました。プレイヤーはいつだって私たちの想像を超えていきます。発想が足りないとも言えるのかもしれませんが、出せる限界というのも存在します。
それでも、そっと影で動くのは……やっぱこのゲームが楽しいから止められないんですよね。

N :デバッグということでスキルに不具合が出ないかどうかを一通りは見たつもりですが……この「SoLA」、スキルがとても多いのと、毎月のシーズン変更で挙動が変わる沢山のスキルも範囲なのですが、これがとてつもなく、とてつもなく大変。
ログの出力が止まるようなフェイタルなものは出来る限り取り除いたはずです。(世界を焼き尽くしたアロンダイトとワンツーブロー10万回は、ごめんなさい)

これほどの物量だと私に見落とされるスキルが結構でます。行動数が違う、消費SPが違う、攻撃が物撃固定だった、弱敵と強敵が違う、その他細かい挙動が変な辺りも、見落としだったりデバッグ漏れであったり。
そうして不具合報告掲示板に上がると内心「ゴメンナサイ!!」となりながら、たくにこさんへ報告という形となります。大変ですね……。

それと、一番辛かったのが……シーズン4、5の前に、追加要素があまりにすごく、プログラミングで少しでも力添えをと参加をしていたのです(といっても、自分の技術力の問題で、数字だけ指示通りに変えるか、スキルID、アーティファクトの識別IDの席を取る程度のかなり単純なことですが)。それでも英数字の羅列を見ることがとても苦手な自分は壮絶に大変な思いをし、壮絶に時間をかけてしまいました。「このページは動作していません」というエラーも頻出して、こんな大変なことをたくにこさんはしていたのかと、すごいなっとなります。

B:辛いところ、辛かったところはたくさんあります。多くを語るとキリがありませんので(特に、管理しきれないほどのスキル量の膨大さは個人的にとても好きなところです)、一番つらかったところをポツリと溢すのみとしておきます。
「バランス調整班である旨を明らかにし、表に出ていけない」。この点が、辛いポイントでありました。そう考えるに至った経緯や、そうしなければならない理由は伏せさせていただきます。
……稼働終了後、みなさんの前に姿を現す時のことを、ずっとたのしみにしています。