制作者に聞いてみた -Stroll Green-

■「ソラニワGF」のきっかけ~天候の導入

つくもしき:そういった先達のエッセンスを盛り込みつつ、「タイプ」概念など挑戦的な要素を盛り込んだ上で完走まで漕ぎつけた「ソラニワ」ですが、続編の「ソラニワGF」まで随分と空きが短かったですよね。

ぶっちゃけ、どの段階からやるつもりになっていたんですかね。そのきっかけもお聞かせいただければ。

ヒサギ:基本的にはそうですね、先人の考えを踏襲しつつ、独自に挑戦的な要素を盛り込んだのが「ソラニワ」ですね。

「ソラニワGF」については、大体2月から3月(「ソラニワ」終了1ヶ月前)ぐらいから計画していました。この段階になると、新しいアイデアや調整したいことが色々あったんですが、ゲームとしては最終盤なのでもう今更な感じがありました。

また、大変幸いなことにこのゲームを本当に楽しんでくれる方が多くいらっしゃる中、やはりさまざまな事情でゲームの参加を諦められてしまった方に、もう一度見ていただく機会を設けられないかなと思い、新規にゲームをやり直そうと思いました。そこで新しく開催されたのが「ソラニワGF」です。

つくもしき:結構終盤だったんですね~~~~環境をリセットするならもう一回やればいいという豪気なスタンスだった……

--挑戦的な要素とは何でしょうか? ゲームシステムとして工夫した所とかはありますか?

ヒサギ:まず、一番目につくところとしては、AP(行動ポイント)の使いみちが「ゲームを進行させて戦闘する」以外にもある点ですね。「花壇の世話」というコマンドがこれにあたります。

これは、花を(花に設定されてあるスキルツリーから)目的のスキルが得られるようになるまで育てる行為で、獲得したスキルを花という形で他人に譲渡することができます。

自分の育成の傍らで、他者への貢献もできるんですね。ただ、育てた花のスキルツリーの通過点にあったスキルは自分でも習得できたり、「GF」では花を育てた数によって自分専用のボーナスがもらえたりと、実際には自分で育てた方が得になる点が多い、という特徴があります。

戦闘要素である散策を楽に行うためには、花を育てることで手に入る新たなスキルが必要となるのが「ソラニワ」の大きな特徴だ。効率的な花の生育には、メンバーの選出も大事。

ヒサギ:「GF」は、これに加えて「天候」というシステムを追加しました。リアルタイムの時間で変化する天気によって、花を育てるときに、より育ちやすくさせるという仕組みを提供しました。

チャット画面にも天候が表示されるので、チャットで現在の天気を用いたロールプレイをされたりする等、攻略面だけでなく交流面でも役に立つように工夫してみました。

天気が雨のときに特定のアクションを起こすキャラクターさんとかいらっしゃいましたね。

つくもしき:AP効率という面でも、ロールプレイの面でも、重要な新システムでしたね~。

--ああ、天候……私は即AP使い切っちゃってたから上手く活かせなかったシステムだったなぁ……天気が都合が良くなるまでAP使わないで貯める人も結構いたと思うのですが、これは想定通りの挙動でしたか?

ヒサギ:やっぱり「晴れ(花壇ボーナスなし)」以外になるまで待つ人は多くいらっしゃったかな、と思いました。

AP制のいいところは「いつでも動ける」ところですが、それだと自由すぎて「いつか動く」という意識になることも考えられたので「いま動こう!」という気持ちを奮い立たせ、ゲームにメリハリをつけようとする目的がありました。

たしかに想定通りといえば想定通り……ではあったのですが、プレイヤーの意識との乖離は気になりましたね。塩梅(あんばい)が難しいです。
なお、晴れのときは、逆に散策の調子補正にプラス補正という感じが一番納得できそうかな、と今では考えています。

現在の天気と次の天気を確認しながら、APを消費する行動のタイミングを伺うことがあった。

--いつでも都合がいいタイミングで動けるが故に、いつ動こうか、が難しいので、それをAP制で解決しようとしたことはとても面白いですね!

つくもしき:最前線で攻略していたごく一部のプレイヤー以外は、「GF」についてはステータスが足りず苦戦していたと聞いていたので、晴れの場合の仮案も面白そうですね。実際のところ、最終的な攻略状況は当初想定していた枠に収まったのでしょうか?

ヒサギ:そうですね。今回はある程度調子補正で不足するステータスを補いながら進行することを想定していたので、基本的にステータスは足りないかと思いますね。やっぱり晴れ案は途中でも採用したかったですね。

実際には……調子が0の状態で攻略していた方が多かった気がします。それでも攻略される方はガンガン攻略されていくので驚きました。強いですね。

攻略状況と言いますと、行けるところまで行こうとした方は、大抵の方は便宜上最後とされる地点までたどり着けていたのではないかと思いました。なお、開催期間を少し延長した影響でもありますね。

つくもしき:なんか耳が痛いですね。皆さんはちゃんと休憩しましょう!その開催期間延長でぼくも半月だけ延命できていたのですが、当初予定通りだとまぼろしの花[3](*4)あたりで攻略は打ち止めになっていたかと思われます。開催期間についてはどちらの方が良かったと思われていますか

*4 庭園散策のEx、最終ステージのことである

ヒサギ:開催期間については、最初は延長する気はなく、本気で5月末でたたむ気でいましたが、この規模の期間の長さであれば、私は1.5ヶ月がちょうど良いと感じました。

「ソラニワGF」は、攻略は1ヶ月だとギリギリになってしまうのですが、これを最初は何らかの方法でAPを追加することで解決しようと考えていました。しかし、攻略だけでなくロールにも余裕があるとすっきりと終わらせられそうで良いなと思い、期間の方を半月ぐらい伸ばすことにしました。

ちなみにそれが、一周年の日になったのは、偶然です。

つくもしき:AP配給と言う面でも確かに解決できたでしょうが、ロールする者としては大変ありがたいご配慮痛み入りますね……偶然にしては出来すぎている……。

訊いて良いのか微妙なラインですが、この開催期間については今後の制作物にもフィードバックされる予定でしょうか?

ヒサギ:楽しんでいただける方が多かったというのも判断材料でしたね。

はい、今後も制作物にも参考材料にする予定です。この手のゲームは攻略もしたいし、交流もしたいし、一部しかしなかったり、全部する方もいたりします。それらを総合的に鑑みたうえで、十分な長さで楽しさが持続できるような開催期間について考えていきたいです。

つくもしき:なるほど……自分の呼吸できるスパンがだいたいどれくらいか目星が付くだけでもありがたいので助かる情報ですね

--自分がどれだけの長さを走ることができるのかの参考になった所も、参加者側としては良かったですね。