『妖刀蠱毒百鬼譚』はどのように生まれたのか
――『妖刀蠱毒百鬼譚』という作品はどういう形で生まれたのでしょうか。テーマや世界観を構築する際のインスピレーションや、企画の立ち上げ時のエピソードを教えてください!
貴渡: 当時の担当編集氏から、まずはいくつかジャンルのオーダーがありました。
提示された中で「時代物」「チャンバラもの」が自分の強みをフルに活かせるであろうと思ったため、それをチョイスして、あとは私の好きな要素を好きなだけ入れました。「カッコいい漢字二文字の妖刀」「異能」「妖怪」「乱波」「底知れぬ力を秘めた美女」「いかなる事にも己を曲げない猪武者」「単機能が故の応用」「復讐」「強大な敵」……というあたりでしょうか。

実の所、私は世界観を構築するのを苦手としているので、作中の世界(ヒノモト)は大体当時(1550年代)の日本と同様の文明レベルに設定しています。そこに前述の要素を、あるったらあるんだよ! と盛り込んだのが作中世界のような感じです。
この時代には廓詞(くるわことば。作中人物「天」のような喋り口調)は存在しない! というツッコミも実はあるのですが、これは実は承知で書いています! そのあたりの背景説明をできるまで話を書けるようなら、この作品は大成功といっていいんじゃないか、とひっそり思っています。
――作品冒頭から、主人公「桐丸」の目的が明確で、物語に引き込まれます。動機はどのように生まれたのでしょうか。
貴渡:ありがとうございます。古今東西、かなりの創作でこうした動機(家族、恋人、親友などを殺されたため)が採用されるので、それがインパクトのある形になっているのはただひたすらに作画担当の市篭先生の力が大きなところだと思います!
初の連載でしたので、とにかく、わかりやすく、動機と導線を確実に伝え、読んでいただくところから入らないといけないと思い、当時の担当編集氏と協議の上、あのような形で表現することとなりました。好意的に読んで下さってとても嬉しいです!
――主役である桐丸や天、そして次々と登場するキャラクターたちも、セリフ回しが個性的ですね。キャラクターの設定について、注目して欲しい点や、気に入っている点などを教えてください。
貴渡: 原作をするとなると、「状況描写で読者の皆様に何かを伝える」のは作画担当の先生の仕事になるんですね。なので、台詞をよりインパクトのある形で差し込み、話を回すのが原作の仕事になる、と心得ています。ですので個性的といって戴けると、この信条に是と言って戴けたようで、喜ばしい限りです。
気に入っているキャラクターと言えばやはり桐丸と天で、この二人だけで話を回せるように性格に凹凸を付けてあるあたりがやはり好きです。作劇上の都合だけでなく、生きたやりとりが書きやすいんですよね。
あとは、桐丸が天断を使って繰り出す戦技がこれから幾つも出てくるので、その開眼に至るまでや、使用に伴う市篭先生の作画のキレなど、桐丸関係には注目に事欠かない要素があると思います。今後も是非ご覧戴ければ!

――第1巻ではバトルシーンが続きますね。桐丸の目的は親の仇を討つこと、妖刀の持ち主を探すことで、行動原理は勧善懲悪ではありませんが、敵が斬られても仕方ない『嫌な奴』で、倒すことで助けられる人がいることからも、読後感が良いなと感じています。特に意識したキャラクターやシーンについて教えてください。
貴渡: ありがとうございます。今後も斬ってさっぱりする敵ばかりかは怪しいのですが(笑)
これに関しては、以後も沢山キャラクターが出てくるので全体的な話になるのですが、桐丸自身が「仇討ちに命を懸ける復讐鬼」でありながら、けれども「仁義・人道を重んじる男」でもある……というところに特に気を遣って書いていますね。ぶっきらぼうではありますが、彼なりに筋の通ったこと、正しいと思うことをしていく、というか。
主人公にも色々いますが、桐丸は『辛いだろうがこう生きられたらな』と私が思う生き方をするキャラクターです。目的の為に、ただ黙々と積み重ね、決して曲がらず進み続ける。その行く末を、皆様にお目に掛けられるよう精進する次第です。
















