「ないものは自分でつくる」PBWプレイヤー・由良辺みことさんインタビュー

イラスト:由良辺みことさん

 プレイヤーが創作したオリジナルキャラクターを登録して遊ぶオンラインゲーム「プレイ・バイ・ウェブ」(PBW)。定期更新型ゲームもPBWの一種ですが、狭義のPBW(商業PBW)では、プレイヤーキャラクターのシナリオでの行動指針に対して、ゲームマスター(GM)が行動結果(リプレイ)をオーダーメードで個別に作成し、イラストレーターやライター、ボイスアクターが、あなたのキャラクターのための作品を作成します。

 PBWに興味はあるけどまだ未体験の方や、イラストや小説を創作している方に、PBWでこんなことができるよ!ということをお伝えすべく、プレイヤーとして、そして小説・イラスト・ボイスと多方面にてPBWで活躍されている由良辺(ゆらべ)みことさんにお話を伺いました。

もくじ
  • 「自分のやりたいことができるゲーム」を探して
  • キャラクターの描写と「おいしい展開」
  • クリエイターがPBWで活動するメリット
  • ボイス商品の使いどころ-フレンドへのメッセージにも
  • さいごに

「自分のやりたいことができるゲーム」を探して

――まず、由良辺さんとPBWとの関わり方、また、PBWを始めたきっかけを教えてください。もともと一次創作をされていたということですが、PBWはまずプレイヤーとして始められたのでしょうか。それとも、クリエイターとしてでしょうか。

由良辺みこと(以下、由良辺):現在、私はPBWでクリエイター兼プレイヤーとして関わっていますが、もともとは純粋なプレイヤーでした。

 もうずいぶんと昔なので、うろ覚えではあるのですが、一次創作をしている中で、ふと自由度の高いオンラインゲームをさがし始めたのがきっかけだったように思います。

 当時のMMORPGとかですと、どうしても自分のやりたいことが、システム的な面でできなかったりしたんです。かわいいモンスターを仲間にしたりとか、装備の能力に関係なく好きなコーディネートをしたりとか。

 創作のように、もっと自由に「自分のやりたいこと」ができるゲームがあったらいいのになと思っていました。そこで、PBWと出会ったんですね。

 クリエイター側として「ライター」の活動を始めたのは、その世界観をもとにしたシナリオのネタが浮かんだからでした。もともとが一次創作をするくらいですので、「ないものは自分でつくる」という精神が根底にあるんですよね(笑)。

――プレイヤーからだったのですね!MMORPGでは得られない自由度がPBWにはありますよね。そこからライターに……ということですが、由良辺さんがPBWに求めた「自分のやりたいこと」は、実際にPBWでできていると感じられていますか?

由良辺:こちら、私の場合はプレイヤーとクリエイター、ふたつの視点があるかなと思うので、まずはプレイヤーとしてお話させていただきますね。

 プレイヤーとしての「自分のやりたいこと」は、できましたね。スキルのオリジナル化ですとか、アイテムのオリジナル化ですとか、アイテムアイコンを発注して設定するですとか。自分のキャラクターへの理想を、すこしずつ詰めこんでいっています(笑)。

 今、主に活動しているプラットフォームでは、ノベル形式のPBWもあるので、今後も「自分のやりたいこと」をやっていけるんじゃないかなと思っていますね。

 次いで、クリエイターとしての「自分のやりたいこと」なんですが……こちらはぼちぼち、といったところです。

 クリエイターは、どうしてもプレイヤーさんの発注ありきで企画などが進行するので、自分が「やりたい」と思ったことを、プレイヤーさんにも「やりたい!」と思っていただかなくてはいけなくて。

 本来は、SNSを用いたプレゼンのようなものを定期的にしていけたらいいのかもしれませんね。

ノベル型のPBW:プレイヤーがノベルを発注することで物語が進行するPBW。ここで例として想定しているのはアルパカコネクトの「東京インソムニア」で、発注したノベルが史実扱いになり、行動の自由度が高い。比較対象としては用意されたシナリオに応募して複数のプレイヤーで挑む「シナリオ型」のPBWがある。

――「自分のやりたいことができる」自由度の高さはPBWの魅力としてよく挙げられますね。プレイヤーとしての由良辺さんご自身のPBWの楽しみ方をもっと教えてください!

由良辺:プレイヤーの数だけあるだろう、PBWのたのしみ方。その中でも、私個人がいちばん好きなのは、ほかのプレイヤーさんが動かしているキャラクターさんと掲示板などで交流することですね。PBWをあそんだことがない、定期更新型ゲームのプレイヤーさんたちにも、このたのしさは伝わるのではないでしょうか。自分のキャラクターに持たせた秘密や成長要素を、うまく引き出してくれるキャラクターさんとの出会いは、何にも代えがたい瞬間だと私は思っています。

 ただ、定期更新型ゲームにはないだろうPBWのたのしみ方としては、やはり、自分のキャラクターがやりたいことを指定した発注文やプレイングをもとに、小説やリプレイを書いてもらうことでしょうね。特にシナリオのリプレイで、自分のキャラクターが活躍できたときのよろこびは、ひとしおです!