制作者に聞いてみた -エリクシルの星-

今回は「エリクシルの星」(エリ星)を運営している夢見(TwitterID:@yumemi_dv)さんに「エリクシルの星」と、その大きなリスペクト元となっている作品についてうかがった。

■もくじ

  • 自己紹介
  • 「エリクシルの星」のコンセプト
  • 大きな影響を受けた作品「パッフェルベルの鐘」について
  • 「エリクシルの星」のあれこれ
  • 課題とこれからと終わりの挨拶

■自己紹介

ーー今日はよろしくお願いします。まずは夢見さんに自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか?

夢見:「エリクシルの星」を開発しています、夢見(ゆめみ)と申します。
普段は別の名義(ゆみる)で活動しているのですが、こちらは開発する時の名義として使っています。

ーーありがとうございます。それでは錬金術の世界である「エリクシルの星」についての質問をしていきたいと思います。

■「エリクシルの星」のコンセプト

ーーでは初めに、「エリクシルの星」のコンセプトをお聞かせください。

夢見:「エリクシルの星」(以下「エリ星」)はプレイヤーが錬金術師となって遊ぶTRPG風のAP消費型ゲームです。
基本的には、依頼をこなしてお金を稼ぎつつ、錬金術でより良い道具を作り、効率を上げてまたお金を稼いでいく、という流れになります。

誰もがお世話になる「賢人都市スピカ」でのある日の依頼。
採取をしたり、調合をしたり、モンスターを倒す依頼もある

夢見:アイテムは現在500種類以上あり、取得したアイテムを記録する図鑑機能もあるので収集要素もあります。

筆者の図鑑。始めたばかりなのであまり載っていない。
アイテムが500種類以上も存在しているということは、まだ50分の1も見ていないこととなる

ーー500種類以上もあるんですね。まだ依頼対象のアイテムしか気に留めたことがなかったです。

■大きな影響を受けた「パッフェルベルの鐘」について

ーー「エリ星」を作るにあたって、影響を受けたゲームなどはありますか?

夢見:「エリ星」は絹野帽子様製作の「パッフェルベルの鐘」(以下「ぱがね」)というゲームのシステムを元にしています。
自分は元々Pixiv企画の「ぴくぱがね」で「ぱがね」のことを知り、そこから参加させていただいていました。

「パッフェルベルの鐘」へのリンク https://freegame-mugen.jp/browser/game_531.html
(※公式サイトは閉鎖しているため、「フリーゲーム夢現」内の紹介ページへリンク)
「ぴくぱがね」へのリンクhttps://www.pixiv.net/artworks/20170395
(※【企画】pixivパッフェルベルの鐘【ほのぼの錬金術生活】)

「エリクシルの星」は、絹野帽子さん作のWEBゲーム「パッフェルベルの鐘」のシステムを元にしており、製作者とは一切関係がありません、とはマニュアルに書いてある通りで、二次創作のような物と言えるだろう。
また、その「パッフェルベルの鐘」と連動した企画が、「ぴくぱがね」というpixiv内の交流企画であり、夢見さんと「ぱがね」を繋げた創作タグである。
オリジナルキャラクターの日常生活などをイラストなどの形でpixivに投稿する交流企画のようだ
世界観や、ゲームの流れなどのゲームについての説明と、連動企画についての説明を合わせて、23Pとなっている。

尚、現在は
◆2018年6月末を持ちまして、WEBゲーム「パッフェルベルの鐘」公式サイトが閉鎖となります。
 本企画も同時点を持ちまして、開催を終了させていただきたいと思います。
 たくさんの素敵な思い出をありがとうございました!
とあるように「ぴくぱがね」も終了している。

夢見:ゲーム、交流、企画と本当に遊ぶのが楽しかったのを覚えています。
その「ぱがね」が2018年6月末で閉鎖したということを知って、「もう一度遊びたい!」となり、無いなら自分で作ればいいんじゃないか、という経緯で「エリ星」の開発をスタートしました。

ーーああ、終わってしまっているんですね。そしてそれを作ろうとして、実際に作ってしまえる辺り、夢見さんは本当に「ぱがね」が好きだったんですね……

■「エリクシルの星」のあれこれ

ーー「エリ星」はいつ頃始まったんでしょうか?

夢見:2018年末に開発を開始して、2019年4月28日にα版をスタートしました。
αは最初調合と採取とお店だけで、主に自分と同じ「ぱがね」プレイヤーの方に声をかけてテストいただいていました。

ーー2年前と聞くと、かなり前な気がしますね。今のバージョンはβですか?

夢見:はい。現在はβ2となっています。αの間は、「das-veilchen」というゲーム名になっていました。
このゲーム名はモーツァルトの曲名からとっています。現在の合言葉もそこが由来だったりします。

ーーなるほど! 元々は「エリクシルの星」というタイトルではなかったんですね。そして合言葉の由来、良いですね!

ーー現在「エリ星」というタイトルになったのは何か転機があったんでしょうか?

夢見:αのタイトルは元々開発コードネームくらいの感じで決めたもので、プレイヤーさんからもなんて読むのかと時々聞かれていました。
そこで、一般登録をオープンするにあたり、「パッフェルベルの鐘」のタイトルの雰囲気を踏襲した上で、錬金術師に関連したもの、というのを色々検討して付けました。

ーーエリクシールや賢者の石は錬金術のお話ではよく聞く言葉ですね。

夢見:はい、エリクシールは錬金術の賢者の石から取っています。
「ぱがね」では10面ダイスの10が鐘(ベル)だったのですが、「エリ星」ではそこも合わせて星に変えています。

これが「エリ星」のダイス。10の値が金の星のマークになっている

ーーなるほど、あの金色のマークが変わっていたんですね。

ーー参加者も、Eno.200を越え、とても人が増えている印象があります。
私が登録した時が199番で、一緒にプレイし始めた人が200番を貰いました。

夢見:今年の1月頃までは登録数60くらいだったのですが、プレイヤーの方がTwitter上で宣伝して下さってから一気に増えました。

これがそのツイート。
「エリ星」のあれこれをツリーに繋げてあり、とても心を惹かれる内容だ。

夢見:(そしてNo.200目の参加ありがとうございます!)

ーーこちらこそ、ありがとうございます!

合わせで登録した方と連番でEno.199と200。 

ーー有志の方が作ってくださった、チュートリアルとも言えるポーションの作成講座動画や、

情報Wikiの照光記録館【エリクシルの星 Wiki】などが作られており、とてもユーザーに愛されていると思います。

■課題とこれからと終わりの挨拶

ーー「エリ星」を作るにあたって、課題などはありましたか?

夢見:これまでブラウザゲームというのを作ったことがなかったので、まずどうやって作るのか、というところが大変でした。
元々本職がWeb系のエンジニアなので、普段仕事で使っているのではないのが良いなと思い、実装方法などは決めていきました。

モバイルでの表示のされ方。UIが整っており、とても見やすい
取材当時のデバイス別セッション数。 
PCとモバイルがほぼ半々だが、この間まではモバイルの方が高かったという

夢見:ゲームとしての課題ですが、最初にルールを理解して、やりたいことを見つけられるかが一番大きなハードルだと思っています。

ーールールを覚えたら後はレシピを考えたりするのが楽しいんですが、それを覚えるまでが大変で、まだ覚えていません! 私は常にWikiなどとにらめっこですね。

ーーエリ星のこれから、という展望はありますか?

夢見:直近の予定では、山岳地系のマップを追加予定です。(現在は草原、森林、湿原、水中の4種)
あとは、4ランクのマナを儀式で取得可能にする予定です。(現在は水だけ。残りは火風地)
上記の2つが達成出来たら、β2を外す予定です。

ーーついに本稼働ということになるんですね。それは楽しみです!

ーー楽しかった所や辛かった所はありますか?

夢見:1つ目は出発点だった「もう一度遊びたい!」をある程度実現できたことです。
GMも実際に今も1プレイヤーとして遊んでいます。
2つ目は、自分の作ったもので継続して遊んでくださる方がいらっしゃることです。
ゲームでのチャットや日記、掲示板などはもちろん、Discordのチャンネルも毎日話している方がいて、見ていてとても活力をもらっています。

「エリクシルの星」には非公式のDiscordがあり、Wikiなどにリンクがあるので、そこから参加することができます。
先輩の錬金術師さんからアドバイスを貰ったり、取引の募集ができたり、便利な機能を扱えたりします。
交流が多く、私もここで多くのことを教わっています。

夢見:3つ目は「エリ星」を公開したことで連絡を取っていなかったぱがねプレイヤーさんとまた繋がりが出来たことです。

ーーユーザーフレンドリーな所は、元々「ぱがね」のプレイヤーであったりする所から来ているんでしょうね。「エリクシルの星」のそういった所もとても好きですね。では、辛かった所はありますか?

夢見:1つ目は、開発作業の時間が確保できるかが不安定なことです。一人で開発運営をしているため、なかなか更新も出来ない時期ができてしまうことがあります。

2つ目は、キャラクター周りのバランス調整が難しいことです。
元々1プレイヤーとしての視点しかなかったので、他との能力型と比較した時にどうかなど
対人するゲームではないので、ナーフしないという方針でいますが、その分上方修正することに慎重になりがちです。

最後は、要望をいただけても対応できるとは限らないことです。
手前の2つの理由によるものです。単純に手が足りないのが一番で、バランス確認が必要になるとそちらでも時間をいただいてしまっています。

ーーそれでは、最後に何か、一言お願いします。

夢見:「エリ星」はまだまだ発展途上のゲームだと思っていますので、今後も開発は続けていきます。興味を持っていただいたら、是非遊んでいただけますと幸いです。

ーー本日はありがとうございました!

夢見さんのTwitter

※本記事のゲーム内画像はいずれも夢見さんに、ツイートや動画は投稿者の方に許可をいただき、掲載しているものです。